【学長社会時評】『獄中メモは問う』が問いかけるもの

2015年09月11日

『獄中メモは問う』が問いかけるもの
芹田健太郎

 
 『獄中メモは問う』は、北海道新聞記者佐竹直子が2013年8月に札幌市内で偶然見つけた獄中メモ
を手がかりに、70年前に起きた治安維持法違反容疑で連行された「北海道綴方教育連盟事件」に巻き
込まれた教員たちとその家族、教え子、同僚、弁護人たちの姿を追った記録である。
「事件」は1940(昭和15)年から翌年にかけて起きた。子どもたちに自分の暮らしや日常の思いを
ありのままに作文に書かせる作文(綴方)教育に励んでいた青年教師たちが「貧困などの課題を与えて
児童に資本主義社会の矛盾を自覚させ、階級意識を醸成した」などとして逮捕され、11人が有罪とされた。

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【学長社会時評】戦後70年談話と積極的平和主義

2015年07月16日

戦後70年談話と積極的平和主義
芹田健太郎

 8月15日が近づき、戦後70年談話のことが現実味を帯びて語られるようになった。侵略のおわびはなく、積極的平和主義が中心で未来志向のものとなるだろうとの予測が報じられた。未来志向に異論はない。しかし、日本は、鎌倉時代に元・高麗連合軍に襲われた、いわゆる元寇のほかには外国から襲われたことはなく、明治以降日本が朝鮮半島・中国に攻め入り、人びとに多大な損害を与えた。このことは認識の問題ではなく、歴史の事実であり、否定し難い。
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【学長社会時評】1.17 絆 3.11

2015年01月30日

1月17日(土)入試センター試験の第1日目、天皇皇后両陛下ご臨席の下、阪神淡路大震災20年の追悼式典が兵庫県公館で行われた。3権の長は、両院議長、最高裁長官は出席したが、総理の不在が目立った。震災当時の村山総理、野中大臣も出席した。遺族代表のことば、新成人の決意表明等があり、今回は一般に公募された作品の中から小学生代表、中学生代表、高校生代表が各自のものを読んだ。式典の中で、読まれ、語られたことばの中など随所に3.11のことが触れられた。歌も、神戸の「しあわせ運べるように」と東北の「花は咲く」がともに歌われた。式典参加者にも東北の人たちが招かれていた。阪神淡路の20年は、東北のことが常に意識されて語られた。  続きを読む


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【学長社会時評】「デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金」について

2014年12月10日

「デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金」について
芹田健太郎

「デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金」が村山富市・和田春樹編で出版された(2014、青灯社、東京)。もともとは、1993年の河野内閣官房長官談話を受けて、村山内閣の戦後50年談話が95年8月15日に発表され、同日アジア女性基金(正式名称:財団法人 女性のためのアジア平和国民基金)(初代理事長 原文衛元参院議長 副理事長 有馬真喜子 現女性人権機構理事長)が発足し、2007年3月に活動を終えるに当たり、慰安婦問題に対する基金の認識と償い事業の歩みを記録して、歴史の教訓にするためにデジタル記念館が立ち上げられたものであるが、今回印刷に付されたのは、編者の村山富市によると、「慰安婦問題が今日あらためて、日韓間で大きな問題として浮かび上がっている。7年前にインターネット上に出したデジタル記念館の内容をそのまま印刷することにしたのは、過去を検証し、現在の方策を考えるために役立ててほしいと思うからである。」なお、デジタル版には今回、日本語、英語のほかに韓国語も加わった。  続きを読む


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【学長社会時評】妊娠で降格は原則違法の最高裁判決の示すもの

2014年11月04日

妊娠で降格は原則違法の最高裁判決の示すもの
芹田健太郎

最高裁判所は、10月23日、妊娠を理由にした職場での降格は原則として男女雇用機会均等法が禁じる不利益処分にあたり違法だ、とする初めての判断を示した。現在の均等法は妊娠や出産を理由に解雇や降格、減給などの処分をすることを禁じる規定(第9条)を設けている。  続きを読む


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【学長社会時評】国益と人類益と外交

2014年10月02日

国益と人類益と外交

芹田健太郎

9月中旬学会で新潟に行った。新潟駅で、「朝日を読まない、朝日を買わない」と、胸と背に印字されたTシャツを着て、手提げをもつ男性と行き会った。二度も。京都でも神戸でも見たことがなかった。朝日問題の広がりに驚いた。いわゆる慰安婦問題と福島原発に関わる吉田調書に関する報道との関連だ。とくに、慰安婦報道に関して、ジャーナリズムが「国益」を損じたとして、朝日をバッシングしている。確かに、朝日の慰安婦報道に関しても、社長会見に関しても、問題は多い。しかし、違和感を覚えるのは、与党の政治家や政府が国益を理由に問題にするのはまだしも理解できなくはないが、報道に関わる人たちが「国益」を損じたとして、朝日を非難していることである。何時から報道は「国益」を盾に人々を非難するようになったのか。報道は「真実」を報道するのではなかったのか。だから、朝日の報道が「真実」ではなかった、という批判は真っ当であり、真実は明らかにされるべきである。
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【学長社会時評】東日本大震災から3年半

2014年09月08日

東日本大震災から3年半
芹田健太郎

東日本大震災からまもなく3年半が経つ。しかし、復興はおろか復旧さえままならない現状がいろいろと報じられている。阪神淡路大震災から来年で20年になる。街はまだ戻ってはいないし、人々は、高齢化のほか、住の問題で未だに問題を抱えている。阪神淡路の場合、被害額およそ10兆円といわれ、大都市直下型であった。対して、東日本では20兆円で、被災地は岩手、宮城、福島の3県にまたがり、地震津波被害のほか、原子力災害を抱えている。地震と津波と原子力の3課題であり、それぞれ対応が異なるが、共通する課題もある。  続きを読む


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【学長社会時評】憲法9条と徴兵禁止、自衛隊装備の制約

2014年07月28日

憲法9条と徴兵禁止、自衛隊装備の制約
芹田健太郎

2014年7月1日政府は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」として、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。  続きを読む


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【学長社会時評】人権・自由と香港―天安門事件25年

2014年06月16日

人権・自由と香港―天安門事件25年
芹田健太郎

 1989年6月4日北京の天安門広場に自由と民主化を求めて集まった学生たちに軍隊を差し向けて弾圧し、多くの死者が出た、いわゆる天安門事件の25年に当たり、北京では厳戒態勢が敷かれ、追悼集会は禁止されたが、香港では「25年後港人拒絶遺忘」(香港人は決して忘れない)として、同夜、蝋燭を持ってヴィクトリア公園に集まった。香港の新聞はこれを「集燭成炬」(小さな蝋燭が集まり大きな松明となる)と伝え、主催者発表18万人(警察発表9万9千5百人)が公園を埋め尽くした。ヴィクトリア公園の夜の集会(維園晩會)は20周年の折に15万人に達しその後常にこの数字が維持されている。  続きを読む


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【学長社会時評】再び自衛と正当防衛について

2014年05月07日

再び自衛と正当防衛について
芹田健太郎

昨年9月に、「集団的自衛権」について、これは国連安全保障理事会の拒否権の旧ソ連による使用によって国際の平和と安全の維持のための同理事会の機能麻痺が懸念されるところから、考案されたものであったことを指摘し、ワルシャワ条約や北大西洋条約など冷戦体制を支える軍事同盟の理論的支柱となったことを示した。そして、日本は歴代政府がこれの行使を憲法9条が禁じている旨を国会でしばしば答弁してきた。この70年間、日本は戦争で一人の外国人たりとも殺していない。世界で希有な国であり、誇るべきことである。しかも、ODAに加えて、諸外国にその意味でも信頼されてきた。  続きを読む


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